不安障害
不安障害

不安障害は、強い不安や恐怖が長期間にわたって続き、日常生活に支障をきたす精神疾患のひとつです。
誰でも仕事や学校、人間関係などで不安や緊張を感じ、通常は一時的で自然に和らぎますが、不安障害では実際には危険のない場面でも強い不安を覚え、行動や思考が制限されることで生活に大きな影響が及びます。
例えば、人前で話すことや初対面の人との会話で極度の緊張を覚え、仕事や学業、人間関係に支障をきたすこともあります。
不安障害には、いずれも「不安が過剰になり生活に影響する」という共通点があります。いくつか種類がありますので、代表的なものをご紹介します。
人前で話すことや、食事をする、電話をするなどの人が多くいる場面で、強い不安や緊張を感じる状態です。
「失敗して恥をかくのではないか」「周囲から変に思われるのではないか」と過度に恐れ、その状況を避けるようになります。
症状としては、顔の紅潮、発汗、声や手足の震え、動悸、吐き気などがみられます。
回避行動が続くと、学校や職場での活動に消極的になり、社会生活が制限されることもあります。
前触れなく突然、激しい動悸や息苦しさ、めまい、吐き気、発汗などの症状が出現し、「このまま死んでしまうのではないか」と強い恐怖に襲われる状態です。
発作は数分から30分程度続くことが多く、発作を繰り返すうちに「また発作が起こるのでは」と不安になり、人混みや外出を避けるようになることもあります(広場恐怖)。
自分でも不合理だとわかっていながら、ある考え(強迫観念)が頭に繰り返し浮かび、それを打ち消すために同じ行為(強迫行為)を何度も繰り返してしまう状態です。
例としては、「何度も手を洗う」「鍵や火の元を繰り返し確認する」「特定の数字や順序にこだわる」などがあります。
こうした行動に多くの時間を費やすことで、学校や日常生活に大きな影響が出てくることがあります。
特定の状況に限らず、日常生活のさまざまなことに対して過剰な不安や心配が続く状態です。例えば「自分や家族が病気になるのではないか」「事故や災害に遭うのではないか」などの現実的な心配を必要以上に感じます。
身体症状として、動悸、息苦しさ、筋肉の緊張、疲れやすさ、集中できない、イライラする、不眠などがみられ、6か月以上続くことが多く、日常生活に支障を来すことも少なくありません。
不安障害の原因には、以下のようなさまざまな要因が関与していると考えられています。
脳内の働きの変化
セロトニン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質のバランスの乱れや、脳内の扁桃体(恐怖や不安を感じる部位)の働きが過敏になっていることが関係するといわれています。
遺伝的要因
必ず遺伝するというものではありませんが、家族に不安障害やうつ病の方がいる場合、発症リスクが高まる可能性があります。
性格や気質
心配性、完璧主義、几帳面、他人の評価を気にしやすいといった性格傾向の方は、発症しやすいといわれています。
環境や生活体験
慢性的な仕事や人間関係のストレス、大きなストレス(進学、就職、結婚、出産、転職などのライフイベントや、事故、災害、虐待、いじめなど)、睡眠不足や過度のカフェイン摂取、アルコール依存などの生活習慣がきっかけとなって発症・悪化することがあります。
不安障害の症状は多岐にわたり、重軽度も人によって異なります。
当院では、医師による診察・問診(いつから、どのような症状が続いているか、生活や仕事・学業への支障など)を中心に、必要に応じて血液検査・心理検査などを行い、専門的な視点で診断を行います。
不安障害の治療では、心理療法や認知行動療法、薬物療法を続けることで、徐々に不安が緩和され再び充実した日常生活を送ることが可能です。
薬物療法では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などが主に使用されます。これらの薬は脳内の神経伝達物質のバランスを整える働きがあり、過剰な不安や恐怖を和らげる効果があります。
症状に応じて医師と相談しながら薬の種類や量を調整します。
心理療法では認知行動療法(CBT)が代表的で、不安を引き起こす思考パターンや行動を見直すことで、症状の改善を目指します。
また、暴露療法(エクスポージャー)や呼吸法、リラクゼーショントレーニングなども併用することもあります。暴露療法とは、不安と感じる状況や対照にあえて向き合うことで、それらに慣れ、最終的に不安や恐怖を克服することを目指す療法です。呼吸法やリラクゼーショントレーニングは、不安な時に過剰な交感神経の働きを抑えるために活用されます。特に腹式呼吸でゆっくりと息を吸い、長めに吐くことで心身をリラックスさせ、不安のコントロールを助けます。
まずは医師と一緒に無理のない方法を検討していきますのでご安心ください。
当院では、不安障害に悩む患者さま一人ひとりに対し、温かく寄り添う医療の提供を心がけています。
不安障害の治療は時間がかかりますが、焦らず継続することが大切で、徐々に不安が和らぎ、生活の質が向上していきます。気になる症状がある場合は、早めに専門的な支援を受けることが、安心した生活を取り戻すために大切です。
一歩ずつ進めることで、少しずつ症状が改善していくため、無理をせず治療を続けることが大事です。
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