福岡がん治療ブログ

福岡天神がんクリニックのスタッフが発信する「がん」に関する情報

変更日/2023.09.25

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光免疫療法

がん光免疫療法とは?

 

がん光免疫療法とは、がん細胞に発生しているタンパク質と結合する抗体に光感受性物質の薬剤を静脈に注射し、非熱性の赤色光を照射することで、病気によって変わったがん細胞を破壊するという治療法です。
がんの治療法としては新しい治療法で、2020年9月の楽天メディカルジャパンの記者発表もあり、現在非常に注目されている治療法です。


さらに、この疫療法では破壊されたがん細胞が免疫細胞に対する抗原となるため、免疫細胞が残ったがん細胞に対してさらに攻撃することも期待できます。

 

 

がん光免疫療法のメリット

 

がん光免疫療法の最大のメリットはがん細胞だけを効率よく破壊できる点です。
手術では、どうしてもがん細胞の周囲の正常な細胞も取り出します、放射線治療でもがん細胞にのみ放射線を照射することは難しく、がん細胞に集まった免疫細胞にも合わせて攻撃してしまいます。

 

しかし、がん光免疫療法では光感受性物質を加えられた抗体ががん細胞と結合し、そこに非熱性赤色光を照射しと光感受性物質が反応をすることで、がん細胞を破壊します。

光感受性物質は、非熱性赤色光にのみ反応するようになっているため、薬剤と結合していない健康な細胞や非熱性赤色光が当たらない細胞は破壊されません。

よって、がん光免疫療法は、がん細胞に集まってきている免疫細胞や周囲への健康な細胞への影響が少ないのです。

 

 

がん光免疫療法のデメリット

 

がん光免疫療法のデメリットは、がん光免疫療法によって治療できる部位が限られてしまう可能性があるという点です。
その名の通り「光免疫療法」ですので、光が届かない場合には治療ができません。

ですが、現在研究でどの部位にも非熱性赤色光が届くように進められているため、研究結果に期待したいところです。

 

 

今後の課題

 

先日の楽天メディカルジャパンの記者発表で、厚生労働省が2020年9月に頭頚部がんに対する治療薬として、光免疫療法用薬アキャルックス点滴静注(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム)を承認しました。

では、なぜ頭頚部がんのみなのでしょうか。
それは今回発表になったアキャルックスの標的がEGFR(上皮成長因子受容体)のがん種ごとの発現率も関与していると言われています。
EGFRの過剰発現率はがん種によって下記のに様に異なっています。

■EGFR発現率
頭頸部がん   36-100%
・腎がん     50-90%
・非小細胞肺がん 40-80%
・前立腺がん   40-80%
・卵巣がん    35-70%
・胃がん     33-74%
・大腸がん    25-77%
・乳がん     14-91%
※Salomon DS,et al.(1995).Crit Rev Oncol Hematol 19

 

見ていただいたら分かる通り、100%に達しているのは頭頚部がんのみです。
このことが頭頚部がんだけが承認された要因の一つではないかと言われています。

 

このように標的となる受容体の多様化や多種の受容体を標的にする薬剤の開発、またはその他の治療法と併用することで、全てのがん種への効果が期待できる様になることが今後の課題であると言えます。

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