「再発」とは
「再発」とは手術で取りきれていなかった目に見えない小さながんが残っていて再び現れたり、
抗がん剤治療や放射線治療でいったん縮小したがんが再び大きくなることをいいます。
治療した場所の近くで再発を指摘されるだけでなく、
別の場所で「転移」としてがんが見つかることも含めて再発といいます。
再発する確率は、男女ともに罹患(りかん)率、死亡率の高い大腸がんにおいて、患者さんのうち約19%の方に再発が認められ、ステージが上がると再発率も高くなるデータが出ています。
※大腸癌研究会ホームページ
「大腸癌治癒切除後のStage別再発率と術後経過年数別累積再発出現率」より
http://www.jsccr.jp/guideline/2019/document.html
「転移」とは
「転移」とは、がん細胞が最初に発生した場所から、血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官へ移動し、そこで増えることをいいます。
多いのは、リンパ液の流れが集まるリンパ節への転移(リンパ行性(こうせい)転移)、
肺や肝臓、脳、骨など血液の流れが豊富な場所への転移(血行性転移)です。
「播種(はしゅ)」とは、がんのできた臓器からがん細胞がはがれ落ち、近接する体内の空間(胸腔(きょうくう)や腹腔(ふくくう))に散らばるように広がることをいいます。
「浸潤」とは転移と別に考えられることも多いですが、原発巣から隣接する他の臓器に広がっていくので、転移の一つと言えると思います。
転移は、肺、肝臓、脳、骨などさまざまな部位に起こり得ます。原発から転移したがん病変を、転移した部位によって、肺転移、肝転移、脳転移、骨転移、腹膜転移(腹膜播種)などと呼びます。これらは、病気がその部分に広がっていることを示しています。
「原発巣(げんぱつそう)」
最初にできたがんの部位は「原発巣(げんぱつそう)」と呼ばれます。
例えば、大腸に初めにがんができ、肺に転移した状態は肺がんとは呼ばれず、
「大腸がんの肺転移(原発は大腸がんで、肺転移を起こした状態)」です。
この場合、肺にできたがんは、大腸がんの細胞と同じ性質を持っています。
つまり、「転移」した部分のがんは、もともとのがんと同じ性質を持つことになります。
そのため、例えば大腸が「原発」のがんであれば、
肺に転移した腫瘍(しゅよう)も、大腸がんに効果がある抗がん剤でないと反応しません。
「原発」「転移」は治療方針の決める大事な情報
初めてがんと診断された場合でも、病気が進んだ状態で発見されると、診断がついた時点でこれらの状態のいくつかを併せ持っていることもあります。
「原発」がどこか、その腫瘍が「転移」か「原発」か、再発した部位はどこかなどが、がん治療の方針を決める重要な情報になります。
いずれの転移であるかを知ることによって、抗がん剤などの副作用の強い薬などに挑むときの是非などについての判断材料になるので、大切な知識です。
血行性転移の場合、抗がん剤にのぞみをかけるのは間違った選択ではないかもしれません。
しかし、リンパ行性転移や播種性転移の場合、抗がん剤ではなく、免疫療法や遺伝子医療などの先端治療を候補に入れる方が良いことも多いです。
浸潤においても、手術後の再発が気になってきます。
再発が分かってからがんの治療を行うと選択肢が限られてくる可能性は高いです。
あらかじめ、先端治療なども候補に入れるべきかもしれません。
いずれにしても、同じ転移でも種類が違うと治療の選択肢も変わってくるので、
これらの転移の違いを良く調べて治療に臨むようにした方がよいことは間違いがありません。