[がんのステージ]
「がん」の進行を表す言葉として、「ステージ」がよく知られています。
ステージ1~ステージ4までに分類されますが、「4」が一番悪いんでしょ?末期でしょ?くらいの認識で、その具体的な意味や分け方までご存じの方は少ないでしょう。
「著名人の○○さんが△△がんのステージ□□!」と報道されることがよくあります。中には、同じステージの患者さんが動揺したり、誤解したりする方がいらっしゃいます。
がんの種類によって、がんのステージの分け方は、全く異なります
◇「がんのステージ」とは?
日本の最新の基準では、胃がんは8段階、大腸がんは11段階、膵がんは7段階といったように、がんの種類によって段階の数は異なり、その分類法も全く異なります(*)。
がんの大きさ、深さ、広さ、どの臓器にどのくらい転移しているか、といった様々な要素を組み合わせて分類します。
これらのステージは、「がん」ごとに「取扱い規約」よって定義されます。この規約は定期的に更新され、少しずつ分類方法が変わります。
より正確に分類ができるように進歩しています。
よって、
「ステージ3の肺がんとステージ2の胃がんはどちらが進行しているか?」
という質問に答えはありません。
がんの種類によって分類の仕方が違うのですから、単純比較できないのです。
当然ながら、ステージ3の肺がんとステージ3の胃がんが「同じくらい悪い」というわけでも全くありません。
◇同じがんの同じステージでも病状は違う
たとえ同じがんの同じステージであっても、病状は全く異なることがあります。
例えば、肝臓にわずか1センチの転移が1カ所だけある大腸がんはステージ4ですが、全身の臓器に数え切れないほどがんが転移している状態でもステージ4です。前者であれば手術で切除することも検討できますが、後者であれば治療の主体は抗がん剤治療になるでしょう。
同じステージ4にもこれだけ幅があり、治療方針も全く違うのです。
つまり、報道された著名人と同じがん、同じステージであっても症状や治療法はそれぞれ異なります。
◇ステージ4は末期ではない
さらに、「ステージ4」=「末期がん」だと思い込んで落ち込んでしまう人もいます。
しかし、たとえステージ4でも治療を行うことで長く生きられるケースはあります。
前述しているように同じステージ4でも、がんの種類・治療の効き具合により経過は異なります。
よって、治療が進歩した今、ステージ4がすなわち「末期」だとは決して言えないのです。
「ステージ」はおおまな判断基準にはなりますが、病状を正確に理解するには、より詳しい医学的な情報が必要なのです。
(*)参考資料
胃癌取扱い規約第15版
大腸癌取扱い規約第9版
膵癌取扱い規約第7版増補版