福岡がん治療ブログ

福岡天神がんクリニックのスタッフが発信する「がん」に関する情報

変更日/2023.09.25

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がんのステージ

[がんのステージ]

 

「がん」の進行を表す言葉として、「ステージ」がよく知られています。

ステージ1~ステージ4までに分類されますが、「4」が一番悪いんでしょ?末期でしょ?くらいの認識で、その具体的な意味や分け方までご存じの方は少ないでしょう。

 

 「著名人の○○さんが△△がんのステージ□□!」と報道されることがよくあります。中には、同じステージの患者さんが動揺したり、誤解したりする方がいらっしゃいます。

 

がんの種類によって、がんのステージの分け方は、全く異なります

 

 ◇「がんのステージ」とは?

 

日本の最新の基準では、胃がんは8段階、大腸がんは11段階、膵がんは7段階といったように、がんの種類によって段階の数は異なり、その分類法も全く異なります(*)。

 

 がんの大きさ、深さ、広さ、どの臓器にどのくらい転移しているか、といった様々な要素を組み合わせて分類します。

 

 これらのステージは、「がん」ごとに「取扱い規約」よって定義されます。この規約は定期的に更新され、少しずつ分類方法が変わります。

より正確に分類ができるように進歩しています。

 

 よって、

 「ステージ3の肺がんとステージ2の胃がんはどちらが進行しているか?」

という質問に答えはありません。

 

 がんの種類によって分類の仕方が違うのですから、単純比較できないのです。

 

 当然ながら、ステージ3の肺がんとステージ3の胃がんが「同じくらい悪い」というわけでも全くありません。

 

 ◇同じがんの同じステージでも病状は違う

 

 たとえ同じがんの同じステージであっても、病状は全く異なることがあります。

 

 例えば、肝臓にわずか1センチの転移が1カ所だけある大腸がんはステージ4ですが、全身の臓器に数え切れないほどがんが転移している状態でもステージ4です。前者であれば手術で切除することも検討できますが、後者であれば治療の主体は抗がん剤治療になるでしょう。

 

 同じステージ4にもこれだけ幅があり、治療方針も全く違うのです。

 

 つまり、報道された著名人と同じがん、同じステージであっても症状や治療法はそれぞれ異なります。

 

 

 ◇ステージ4は末期ではない

 

 さらに、「ステージ4」=「末期がん」だと思い込んで落ち込んでしまう人もいます。

しかし、たとえステージ4でも治療を行うことで長く生きられるケースはあります。

 

 前述しているように同じステージ4でも、がんの種類・治療の効き具合により経過は異なります。

よって、治療が進歩した今、ステージ4がすなわち「末期」だとは決して言えないのです。

 

 「ステージ」はおおまな判断基準にはなりますが、病状を正確に理解するには、より詳しい医学的な情報が必要なのです。

(*)参考資料

胃癌取扱い規約第15版

大腸癌取扱い規約第9版

膵癌取扱い規約第7版増補版

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