【トリプルネガティブ乳がんとは?】
トリプルネガティブ乳がんとは乳がん細胞の表面に、
ホルモン受容体である①エストロゲン受容体と②プロゲステロン受容体、そして ③HER2(ハーツー)タンパクの 3 つがいずれも存在しないタイプの乳がんです。
治療には、ホルモン療法薬や抗 HER2 薬は使わず、抗がん剤を使うのが一般的です。
乳がん全体の15~20%がトリプルネガティブ乳がんだと言われています。
トリプルネガティブ乳がんは、ホルモン療法や抗HER2療法の効果は期待できませんが、一方で、化学療法の感受性は高いといわれており、なかには予後良好な性質のものも存在します。
【乳がんの進行度】
乳がんの進行度は以下の基準で5つに分けられます。
- しこりの大きさと乳房内での拡がり具合
- リンパ節への転移状況
- 身体の他の臓器への転移の有無
■乳がんの進行度(臨床病期分類)
参照:日本乳癌学会編.臨床・病理 乳癌取扱い規約 第18版.2018年,p6,金原出版
【乳がんの最も基本的な治療は手術】
この中で最も基本となるのが手術です。
その理由は、身体の中にできた悪い細胞を一度に全て取り除くことが根治への近道であり、
他の治療法を加えるにしても、手術によりがんの量を少しでも減らした方が、他の治療を成功させる確率が高くなるからです。
しかし、最近は、乳がんの手術に対する考え方が変わり、薬物療法、放射線照射法が進歩したことから、手術主体の治療ではなく、
患者さんの病態に応じて、これらの治療法がうまく共働するように組み合わせて、治療を行うことが多くなってきています。
しこり(がん)の大きさや拡がり、悪性度、リンパ節への転移状況、その他の検査所見をもとに治療法が決定されます。
がんが少々大きすぎたり、リンパ節への転移があるような場合、あるいは、大き目のしこりを小さくして乳房温存手術ができるようになるかどうかを検討する場合には、
手術前に薬物療法を行います。逆に、乳房から離れた臓器に既に転移(遠隔転移)しているときは
、手術以外の治療法が主として検討されますが、最初に手術をしてがんの量を減らしてから、薬物療法を行うこともあります。