【ホルモン療法(内分泌療法)の特徴】 がん細胞の増殖に関係するホルモンが供給されないようにすることで、 抗腫瘍効果を発揮するホルモン療法は、がんの成長を促すホルモンの分泌を抑えたり、 ホルモンががん細胞に作用するのを抑えたりすることで、 がんの増殖を阻害する治療法です。 人間の体内ではさまざまなホルモンが分泌されていますが、 がん細胞の増殖に影響を及ぼすホルモンも存在します。 特定のホルモンの作用により活発化するタイプのがんでは、 ホルモンの作用を抑えるホルモン剤を投与することで、 がんの増殖を防ぐことが期待できます。 対象となる臓器は、女性は乳がん、子宮体がん、卵巣がん、 男性なら前立腺がん、といった生殖器のがんを中心とする 「性ホルモンで成長するがん」となります。 例外的に、甲状腺がん、腎がんなどもあります。 このようながんを、 「ホルモン依存性のがん」と言います。 ホルモン依存性かどうかは、 がん細胞の核の中にホルモン受容体があるかないかで決まります。 【ホルモン療法のメリットとデメリット】 ホルモン受容体のあるがんならば、 ホルモン療法の効果が期待できます。 がんを根治することはできませんが、 がんの進行を遅らせるのには有効です。 なおかつ細胞毒系の抗がん剤のように直接的に細胞やDNAを破壊したりするわけではないので、強 い副作用が少ないというメリットがあります。 ホルモン療法の有効性を見極めるためには、 がん細胞を採取して、ホルモン受容体があるかないか(陽性か陰性か)を調べます。 ホルモン受容体がない場合は、 ホルモン療法を行ったとしても効果が得られませんので、 抗がん剤を行うことが標準的選択です。 また、欧米では特定のがんの発症リスクの高い人に対し、 予防的にも投与されています。 副作用が少ないとというメリットはありますが、 副作用が伴う場合もあります。 薬剤の種類にもよりますが、 ほてりや発汗などの更年期障害のような症状や関節痛などを起こす場合があります。 https://ganclass.jp/treatment/foundation/basic04.php
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【体内の免疫の活性化を持続する(ブレーキがかかるのを防ぐ)方法】 免疫チェックポイント阻害薬は抗体薬であり、この薬を使う治療は 「免疫療法」でもあります。点滴で治療します。 体の中には、異物の侵入を防いだり、侵入してきた異物を排除したりして、 体を守る抵抗力を備えた「免疫細胞」があります。 がん細胞の中には、免疫細胞と結合することによって、 免疫細胞にブレーキをかけ、その攻撃から逃れる仕組みをもっているものがあります。 このような、がん細胞と免疫細胞の結合を“免疫チェックポイント”といいます。 免疫チェックポイント阻害薬は、 がん細胞と免疫細胞が結合できないように邪魔をすることで、 免疫細胞にかけられたブレーキを外して、 自分の免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにする薬です。 【免疫チェックポイント阻害薬のメリットとデメリット】 一度効果が得られると非常に長く持続する場合があり注目されている がん細胞を直接攻撃する従来の抗がん剤とは異なり、 がんを攻撃するT細胞を活性化させて、 間接的にT細胞によりがん細胞を排除するという、 今までとは異なる仕組みで作用します。 そのため、抗がん剤が効かなくなった進行がんでも治療効果が得られる場合があり、 また免疫を活性化させるので、 治療効果が持続する傾向があることがメリットとしてあります。 がん細胞を直接攻撃する従来の抗がん剤とは異なり、 がんを攻撃するT細胞を活性化させて、 間接的にT細胞によりがん細胞を排除するという、 今までとは異なる仕組みで作用します。 そのため、抗がん剤が効かなくなった進行がんでも治療効果が得られる場合があり、 また免疫を活性化させるので、 治療効果が持続する傾向があることがメリットとしてあります。 https://youtu.be/-Aeq3vEEQZk
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【がん細胞の特徴を捉え、効率よく攻撃する新しい薬】 分子標的薬とは、がん細胞に特異的に発現する特徴を分子や遺伝子レベルで捉えてターゲットとし、 がん細胞の異常な分裂や増殖を抑えることを目的とした治療薬です。 がん細胞の特定の分子だけを狙い撃ちにするので、正常な細胞へのダメージが少なく、 従来の抗がん剤と比べると体への負担も少なくなっています。 しかし、分子標的薬だからといって副作用が無いわけではなく、 重大な副作用によって複数の方が亡くなっている分子標的薬もあります。 分子標的薬によって標的となる分子が異なるため、 副作用のパターンも多く存在しており、 服用する際には医師や薬剤師の説明をしっかりと聞いて理解するようにしましょう。 日本ではこれから広まっていくであろう分子標的薬ですが、 世界では抗がん剤といえばすでに分子標的薬となっています。 【分子標的薬のメリットとデメリット】 細胞を死滅させるためではなく、異常な働きを抑えるための薬 従来の抗がん剤はがん細胞を死滅させることを目的として作られており、 その作用は正常な細胞に対しても被害を与えていました。 特に細胞増殖が活発な細胞を攻撃するため、 がん細胞だけでなく毛髪や消化器系の細胞まで攻撃対象となり、 抗がん剤からのダメージを受けて、吐き気や脱毛などの副作用を 引き起こしていたのです。 そこで新たに、がん細胞にだけ存在する物質(遺伝子やタンパク質)を標的にして 攻撃する方法が無いかと考え出されたのが分子標的薬です。 分子標的薬は、がん細胞の増殖・転移・浸潤に関わる分子を標的にして、 最初からがん細胞の特定の活動を抑えることを想定した上で開発されています。 がん細胞だけに存在する分子を標的にすれば、 正常な細胞に与える副作用も少なくてすむはずです。 【これまでの抗がん剤とは異なる副作用】 分子標的薬は標的となる物質を持たない正常な細胞には攻撃を行わないため 副作用が少ないと考えられていました。 事実、乳がんの治療に使われているトラスツズマブは、 従来のような副作用はほとんどないとされています。 しかし、分子標的薬だからといって副作用が全くないわけではなく、 薬剤性肺炎や皮膚障害など、一般的な抗がん剤とは違った副作用の報告もあります。 分子標的薬はそれぞれ作用するメカニズムが異なるため、 治療薬によって引き起こされる副作用も異なるのが特徴です。 https://ganclass.jp/treatment/foundation/basic04.php
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【がんが発生した部位を切除せずに完治を目指せる治療】 エックス線や電子線、ガンマ線を用いて、体の外側や内側からがん細胞の遺伝子にダメージを与えて死滅させる治療法が 放射線治療です。 放射線によってがん細胞の周囲の正常細胞もダメージを受けますが、 正常細胞はがん細胞と違って自己修復することができます。 切り取ってしまうと生活に不便が出てしまう部位にできた腫瘍を放射線治療によって消滅させることで、 QOL(生活の質)の低下を防ぎながら治療が可能です。 放射線治療には根治目的の治療、手術や抗がん剤治療の補助、症状の緩和を目的とした治療の3種類があります。 照射してすぐに出る急性の副作用と、半年から一年以上経過してから出てくる遅発性の副作用があり、 遅発性の副作用は機能不全などの重い症状が多くなります。 【放射線治療のメリットとデメリット】 切除が出来ない腫瘍や大きく成長してしまった腫瘍を縮小させて手術可能にする 放射線は手術の前に照射するのと、手術後に照射をするのとで治療目的が異なります。 手術の前に放射線治療をする目的は主に、切除不能な腫瘍を縮小させて手術可能にすること、 また切除可能な腫瘍に対しても切除範囲を縮小させて出来るだけ部位を温存させるために行います。 手術の後に照射するのは、取り残してしまったがん細胞を放射線によって消滅させて 再発率を低下させるために行います。 放射線治療の大きなメリットは 体を切らずに治療することができるので、患者様の負担が少なく、体の機能が維持できるという点です。 例えば、喉頭がんや声門がんの場合、 手術をすると声を失ってしまうというリスクを避けて治療することが可能になります。 前立腺がんの治療でも早期の場合は放射線だけで根治させることが可能であり、 性機能の障害などを残さずに治療することが出来ます。 放射線治療の副作用は急性と遅発性の2種類あり、 放射線治療にはメリットばかりではなく、デメリットも存在しています。 その一つが放射線による副作用です。 放射線治療の副作用は主に、治療後すぐに発現する急性の放射線障害と、 半年から1年以上経過してから発現する遅発性の放射線障害があります。 急性の副作用は皮膚のかゆみや水ぶくれ、頭痛、脱毛、吐き気、疲労感や食欲減退、 白血球の減少による感染症のリスクなどがあげられます。 遅発性の副作用は頭部であれば脳組織の壊死や脳梗塞、胸部では肺の線維化による呼吸障害、 腹部では腎不全や膀胱炎の慢性化など、血管や細胞の壊死によって機能不全などの障害が起きることがあります。 急性副作用は対症療法がありますが、遅発性の場合だと一度出現すると治すことができないので、発現させないことを目指します。 現在では照射限度を超えないように努力されており、重篤な副作用の発生はまれであるとされています。 https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/radiotherapy/rt_01.html
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【広範囲に作用してがん細胞の増殖を抑える】 細胞の増殖を抑える抗がん剤を用いて、がんの増殖を抑え、転移や再発を防ぐ目的で治療が行われます。 手術や放射線は局所的な治療であるのに対して、抗がん剤はより広範囲に治療の効果が及ぶので、 血液やリンパのがんのように広い範囲の治療を行う必要があるときに用いられます。 完全に治すことができない場合でも、 がん細胞を小さくすることで延命効果や痛みの症状などを和らげることが期待できます。 がんに対する薬は現在100種類近くあり、単独の薬剤で治療する場合と、 複数の抗がん剤を組み合わせて治療する場合があります。 錠剤やカプセルなどの経口投与や、点滴や注射で直接体内に注入する方法があります。 【抗がん剤治療(化学療法)のメリットとデメリット】 手術では切除できない血液やリンパのがんを治療できる 抗がん剤のメリットは、手術では切除できない血液やリンパのがんに対して治療を行えるということです。 がんの種類によって抗がん剤だけで治療を行うこともあれば、 手術や放射線などの他の治療と合わせて補助的に抗がん剤治療を行うこともあります。 手術で切除するには腫瘍が大きくなりすぎてしまったがんを縮小させ、 転移している可能性の高いがんに対して全身作用するので転移や再発を防止することができます。 現在では多くの病院で通院治療が行えるようになり、日常生活を送りながら、 仕事を続けながら治療を受けることが可能となりました。 家族と一緒に過ごすことで精神的なストレスを緩和し、 QOL(生活の質)を保ちながら治療を続けられるのは大きなメリットと言えるでしょう。 常に新たな抗がん剤が開発されており、治療範囲の拡大や薬剤効果の向上が期待できます。 抗がん剤は血液のがんと呼ばれる白血病や、悪性のリンパ腫、 その他にも精巣がんや絨毛がんといったがん腫瘍に対しても効果を発揮します。 小児の急性リンパ性白血病に関しては5年生存率が70%以上という治療成績が出ており、 抗がん剤で治療ができる代表的な症状となります。 その他にも抗がん剤が良く効くがんとして、乳がんや卵巣がん、骨髄腫などは腫瘍の縮小や消失が期待できます。 前立腺がんや甲状腺がん、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がんや胆道がん等に対しても効果があり症状を和らげさせる効果が確認されています。 それぞれの部位によって効果のある抗がん剤が異なるので、治療を受ける際に主治医から説明を受けると良いでしょう。 しかし、中には抗がん剤の効果が期待できないがんもあります。 腎がんや膵がん、肝がんなどがその代表で、腫瘍の縮小させることも難しいと言われています。 肝がんに対しては、 動脈にカテーテルを通してがん細胞へ抗がん剤を注入する動注化学療法と呼ばれる治療法が開発されましたが、 病院間の技術の格差が大きく標準治療とはなっていません。 【抗がん剤による主な副作用】 主な副作用として、 吐き気、発熱、便秘、下痢、疲れやすい、だるい、食欲不振、口内炎、脱毛(抜け毛)、手足のしびれ、貧血、腎臓や肝臓の障害などが挙げられます。 脱毛や吐き気については、 抗がん剤治療を受けると決めてから想定していたのでまだ我慢できるという方もいらっしゃいますが、 酷い口内炎によって喋ることも食べることもつらいという訴えも多く、 病院によっては口腔ケアを実施しているところもあります。 抗がん剤の副作用が強い理由として、抗がん剤の効果が出てくる量と、副作用が出てくる量の幅が非常に狭い、 または副作用が先に出てくる場合があるからです。 一般に使われている風邪薬などは、用法・用量を守って飲むと解熱や咳止めの効果が出ます。 その量を超えて飲むと、今度は有害な効果が出てきます。 だからといって10倍程度の服薬をしても市販薬で命を落とすことはまずありません。 しかし、抗がん剤の場合、副作用が出てきてから更に投与して、やっと本来の効果が出るといった場合もあります。 完治は難しいが抗がん剤で進行を抑え、 延命できるがんの場合だと、その効果よりも副作用によって苦しむケースが少なくありません。 【がんを治療するのか、生活の質を改善するのか】 抗がん剤でがんを消失させて完治させるケースがある一方で、 抗がん剤の副作用により苦しみ続けている患者様もいます。 がん細胞を消すことを目的とするのか、それともがんによる症状を緩和させて普段通り暮らせるようにするのか、 抗がん剤治療の目的は何なのかを主治医の方とよく話し合った方が良いでしょう。 がんの治療は日々進歩しており、 さまざまな治療法が登場していますが、 完璧な治療法というのはありません。 いくつかの治療法を組み合わせて、欠点を補いあって治療する 「がんの集合的治療」が大事だと考えられています https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/drug_therapy/dt02.html