乳がん

乳がんとは

乳がんは、乳腺の組織にできるがんで、多くは乳管から発生します。一部は乳腺小葉から発生し、乳房の周りのリンパ節や、遠くの臓器(肺、骨など)に転移することもあります。
女性の罹患者数が最も多いがんで、30歳から罹患者数が増え、ごく稀ですが男性でも乳がんを発症することがあります。
乳がんには検診では発見できないタイプの病気もあるので、注意が必要です。また、乳がんの治療方針は、他のがんと異なり、進行度(ステージ)だけではなく、細胞の種類や病変の受容体の有無も考慮して決定されます。 発症数は年々増えていますが、死亡者数の増加は発症者数ほど増加していません。それは検診の受診率が少しずつ増えていることや、セルフチェックの啓蒙活動、そして乳がん治療の進歩が関していると考えられます。

乳がんの種類

・非浸潤がん(0期)
(がん細胞が乳管や乳腺小葉にとどまっているがん)
・浸潤がん(I期からIV期)
(乳管や乳腺小葉の周囲まで広がっているがん)

乳がんの原因

乳がんの10~20人に1人は遺伝子が関係していると報告されています。そのほかに乳がんの発症にはBMI、乳製品、飲酒などの生活習慣や女性ホルモンの累積分泌量との関係も報告されています。逆に大豆製品には乳がんの発症を予防する可能性があると報告されています。
乳がんの早期発見には検診を受けるだけでなく、セルフチェックも大切です。そのためには自分が乳がんになりやすい体質かどうかを知っておくことも重要です。

初期症状

乳がんの主な症状は、乳房のしこりです。ほかには、痛み、赤み、乳頭からの分泌物、乳房にえくぼやただれができる、左右の乳房の形が非対照になる、乳頭から分泌物が出る、などがあります。

乳がんは自分で見つけることのできるがんの1つです。日頃から入浴や着替えのときなどに、自分の乳房を見たり触ったりして、セルフチェックを心がけましょう。ただし、セルフチェックでは見つけられないこともあるため、定期的に乳がん検診を受けることも重要です。気になる症状がある場合は、早めに乳腺科、乳腺外科などで乳腺専門医の診察を受け、早期発見につなげましょう。

検査方法

一般的に検査は、マンモグラフィと超音波検査です。検査はどちらかを受ければよいというものではなく、それぞれの検査には良い点と悪い点があります。それぞれの長所を組み合わせたり、場合によっては人間ドックのオプションとして行われている乳房専用PET(マンモPET・PEM)などを組み合わせることも考えましょう。

乳がんの疑いがある場合は細胞診や組織診で病変の一部をとって、顕微鏡で見る検査を行います。乳がんと診断されれば、病気のひろがりを見るための検査を行います。

統計情報

■ 診断される数(2019年) 97,812例(男性670例、女性97,142例)
■ 死亡数(2020年) 14,779人(男性129人、女性14,650人)
■ 5年相対生存率(2009~2011年) 92.3 %(女性のみ)

ステージ別生存率

2011~2013年の女性の乳がんのステージ別5年相対生存率は
ステージ1:100%
ステージ2:95.9%
ステージ3:80.4%
ステージ4:38.8%
と報告されています。

乳がんの治療方法

乳がんの治療方法には手術、薬物療法(抗がん剤・ホルモン療法・分子標的薬)、放射線療法などがありますが、基本的には手術か薬物療法となります。

 

手術には乳房部分切除術と乳房切除術があり、乳房切除術の場合、希望すれば乳房再建術も行われます。
乳がんの手術に特異的な後遺症として、腋窩リンパ節も併せて切除した場合に起きる腕や肩の動作制限や異常感覚(違和感、しびれ、ピリピリした感じがするなど)、浮腫などがあります。

 

乳がんの薬物療法には抗がん剤とホルモン療法、分子標的薬があります。これらのどれを行うかはそのがんがどのような受容体をもっているかによって決められます。その他にも経皮的局所療法として経皮的凍結療法とラジオ波焼灼術があります。

ひらがなの「がん」は悪性腫瘍全体を示し、漢字の「癌」は上皮細胞から発生する癌腫として使われることもありますが、特に区別しないこともあります。当ページでは、原則として、「癌」についてもひらがなの「がん」を使っています。

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