胆道がん

胆道がんとは

胆道がんは、胆道の管の内側を覆っている細胞から発生するがんで、胆道にできるがんの総称として知られています。
胆道がんは、発生する場所によって分類され名前が付けられています。「肝内胆管がん」は胆管からがん発生し、「胆嚢がん」は胆のうから、そして「乳頭部がん」は、胆管の十二指腸への出口付近で発生します。また、肝内胆管がんは肝臓の中に発生するため、原発性肝がんの一部として分類されることもありますが、肝細胞がんとは性質が異なります。

胆道がんの種類

胆道がんは、発生した部位によって分類されます。
①肝内胆管がん(腫瘤形成型・胆管浸潤型・胆管内発育型)
②肝門部領域胆管がん
③遠位胆管がん
④胆嚢がん
⑤十二指腸乳頭部がん

また、組織による分類は、
腺がんが多く、扁平上皮がんや小細胞がんなどがあります。

胆道がんの原因

胆道がんは他のがんと同じく年齢が上がるとなりやすく、特に50歳台~70歳台の方に多くみられます。また、胆道がんの原因やリスクファクターには不明な点も多いのですが、いくつかの候補について研究報告がされています。

まず「膵・胆管合流異常」という先天的な異常や「原発性硬化性胆管炎」という難病は、胆道がんのリスクを高めるとされています。これらの病気は、胆管に継続的なダメージを与えるため、がんの発生リスクが高まると考えられています。さらに、肝炎ウイルスやアフラトキシン(カビ毒の一種)、アルコール性肝疾患、肝硬変なども胆道がんのリスクと関連しているとの研究結果があります。

喫煙や飲酒は、胆管がんの発生に関連している・関連はないという研究の両方がありますが、胆嚢がんへの影響については、喫煙・飲酒のいずれも影響があると考えられています。 また、食事では唐辛子をたくさん食べたり、甘い飲物をよく飲む方のほうが胆管がんや胆嚢がんになりやすいことも分かっています。

業務に関連して、塗料などの有機溶剤の大量の吸入や、石油、製紙、化学、繊維といった業種での作業は、胆道がんや胆嚢がんが多く見つかっているとの調査結果もあります。

最後に、胆石に関しては、胆嚢がんとの直接的な因果関係は照明されていませんが、胆石ができてからの期間や大きさ・数などは胆嚢がんの発生と関連している可能性が指摘されています。

初期症状

胆道がんの症状には、黄疸、右わき腹の痛み、体重減少などがあります。

肝外胆管がんや十二指腸乳頭部がんでは、黄疸がよくみられます。黄疸は、胆管の内部ががんによって狭窄(狭くなること)したりつまったりして、体の中にある「ビリルビン」という黄色い色素が体内に蓄積することによって引き起こされる状態です。白目や皮膚などが黄色くなったり、だるさ・皮膚のかゆみ・尿の色が濃くなる・便の色が薄くなる、といった症状もあります。

肝内胆管がんや胆のうがんは、早期には症状が出ないことが多いがんです。進行すると黄疸がみられることがあり、胆のうがんではみぞおちや右わき腹の痛みが出ることもあります。ただし、このような痛みは胆石症などのがん以外の病気によって出ることもあります。

胆道がんでは、がんの発生した部位によって、出やすい症状や症状の出るタイミングが異なります。少しでも気になる症状がある場合には、専門の医療機関で検査を受けましょう。

検査方法

胆道がんの検査は、まず血液検査(腫瘍マーカー含む)と腹部超音波(エコー)検査を行います。

胆管の内部が狭窄したり、胆汁がたまった部分が拡張したりしている場合には、CT検査やMRI検査などを行い、がんがあるかどうかやその広がりを調べます。胆道がんの中でも乳頭部がんがあるかどうか調べるには、胃カメラで十二指腸の近くを確認する必要があるので、内視鏡検査や生検、細胞診を行うことがあります。
乳頭部よりも奥(肝臓に近い側)にある胆道を見る場合は普通の胃カメラでは見ることが出来ません。そのため、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)・経皮経肝胆道鏡(PTCS)や先端に超音波で検査する機器を用いた検査など、医師が他の検査結果から最適と考えられる方法を選んで行います。

統計情報 ※ 胆嚢・胆管

■ 診断される数(2019年) 22,159例(男性11,964例、女性10,195例)
■ 死亡数(2020年) 17,773人(男性9,357人、女性8,416人)
■ 5年相対生存率(2009~2011年) 24.5 %(男性26.8 %、女性22.1 %)

ステージ別生存率

2011~2013年の胆のう・胆道がんのステージ別5年相対生存率は
ステージ1:55.1%
ステージ2:35.4%
ステージ3:23.1%
ステージ4:3.2%
と報告されています。

胆道がんの治療方法

胆道がんの治療は、まずは手術ができるか検討し、切除可能であれば手術を行います。切除不可能な場合には、抗がん剤、放射線療法を行う方針になります。

 

胆道がんの手術の最大のメリットは、がんの全てを取り切ることで完治が期待できる点です。しかし、胆管は肝臓内外で複雑に枝分かれしていることや、胆嚢がんでもがんが近くの臓器に広がっていると、手術で切除する範囲を広くせざるを得ません。遠隔転移がなくても、最初にがんができた場所や周囲への広がりなどの状態によっては、手術で切除することが技術的に難しいこともあり、(他の手術よりも)手術合併症などのリスクが高いこともデメリットです。

 

薬物療法(抗がん剤)は、手術によってがんを取りきることが難しい場合や、がんが再発した場合に行います。薬物療法だけでがんを完全に治すことは困難ですが、がんの進行を抑えることにより、生存期間を延長したり、症状を和らげたりできることがわかっていますが、副作用も考慮する必要があります。

 

放射線治療は、手術で肉眼的には取りきれていても、顕微鏡で確認するとがん細胞が残っていたり、完全に取りきれているように見えても同じ場所から再発したりしてしまうことがあるため、手術後に、放射線治療や放射線治療と薬物療法を併用した化学放射線療法を補助療法として行うこともあります。しかし、効果は現時点では十分に証明されておらず、標準治療ではありません。

 

また、胆道にがんができると多くの場合胆道で詰まると、胆汁の流れが悪くなり、腸での消化や吸収が不十分になったり、黄疸の症状が出るなど、手術や抗がん剤治療を安全に進めることが難しくなることがあります。このため、胆道がつまった場合には、たまった胆汁を通すための胆道ドレナージという処置を行うことがあります。外ろうという方法は、チューブを使って胆汁を鼻やおなかから体の外に出し、ボトルやプラスチックバッグにためて回収する方法です。内ろうは、ステントというプラスチックや金属の管を胆管の中に置き、胆汁を本来の流れ道である腸の中に流す方法です。

ひらがなの「がん」は悪性腫瘍全体を示し、漢字の「癌」は上皮細胞から発生する癌腫として使われることもありますが、特に区別しないこともあります。当ページでは、原則として、「癌」についてもひらがなの「がん」を使っています。

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