食道がん

食道がんとは

食道がんは、食道の内面をおおっている粘膜の表面から発生します。このがんは食道のどこにでもできる可能性があり、約半数が食道の中央付近からできます。がんが進行すると、食道の外側に広がっていき、他の臓器へと広がることが知られています。食道は、のどと胃をつなぐ管状の臓器で、食道がんは特に40歳を過ぎると増加します。男性の方が女性よりもリスクがあり、特に飲酒や喫煙がそのリスクを高めることが知られています。

食道がんの種類

・扁平上皮がん
・腺がん

食道がんの原因

食道がんの主な原因とリスクファクターは、次の通りです。

アルコール: 日本人でもアルコールにより食道がんが発生しやすいことが報告されており、飲酒者は飲まない人と比較して2.76倍食道がんになりやすいとされています。
タバコ: 喫煙者は非喫煙者と比較して2.77倍食道がんになりやすいとされ、喫煙者かつ飲酒者では8.32倍のリスクが報告されています。
熱い飲食物: 1日に60℃以上の熱いお茶を摂取すると、食道扁平上皮がんの危険性が90%増加するとされています。
逆流性食道炎: 逆流性食道炎の状態が長期間続くと、延焼した部位にバレット上皮と呼ばれる細胞が現れることがあり、食道がんのリスクを高める要因とされています。
食道がんになりやすい人の特徴として、40歳以降に発症者数が増加し、男性の方が女性よりも食道がんのリスクが高いです。アルコールやタバコの制限、熱い飲食物の摂取の注意、逆流性食道炎の早期治療などが予防に役立つとされています。

初期症状

食道がんは、食道の内面の粘膜からできるがんで、初期段階ではほとんど症状が現れにくいです。しかし、がんが進行すると食道が狭くなり食べ物や水分が通りにくくなるため、食事の際に胸の違和感やつかえる感じ、しみる感じ、体重減少などがあります。このような症状は一時的に消えることもあるため、症状が消えたからといって安心してはいけません。さらに進行すると、食道の外側の臓器や神経に影響を及ぼし、胸や背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状が出ることもあります。これらの症状は他の病気でも起こることがあるため、症状が現れた場合は、専門の医療機関で検査を受けましょう。

検査方法

食道がんの検査は、食道がんの可能性があるかどうかを、バリウム検査、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)、腫瘍マーカーなどで行います。

上部消化管内視鏡検査は確定診断の検査で必須のため、バリウム検査で異常があった場合にも行います。食道の粘膜の色や凹凸などを直接観察し、異常な部分の組織を採取して顕微鏡でがん細胞の有無を確認し、がんを確定します。その際、がんの位置や広がり、深さなどを診断しやすくするために、特殊な色素や光を使用することもあります。
また、超音波内視鏡検査を用いて、詳細に食道がんの広がりや転移の有無を調べることもできます。

病理検査では、内視鏡検査で採取した組織を顕微鏡で検査し、がんの有無や種類を確認します。さらに、PET検査やCT検査、MRI検査、超音波(エコー)検査などの画像検査を行い、全身や周囲の臓器への広がりや転移の有無を調べます。

統計情報

■ 診断される数(2019年) 26,382例(男性21,719例、女性4,663例)
■ 死亡数(2020年) 10,981人(男性8,978人、女性2,003人)
■ 5年相対生存率(2009~2011年) 41.5 %(男性40.6 %、女性45.9 %)

ステージ別生存率

2011~2013年の食道がんのステージ別5年相対生存率は
ステージ1:88.2%
ステージ2:57.9%
ステージ3:32.6%
ステージ4:12.4%
と報告されています。

食道がんの治療方法

食道がんの治療は、がんの進行度や患者の全身状態を総合的に判断し、主な方法としては手術、抗がん剤、放射線療法が挙げられます。

 

手術は大きく分けて、内視鏡手術と胸やお腹を切って行う食道切除術があります。
内視鏡手術は早期のステージの場合胃カメラを使用して食道の内側からがんを切除する方法です。外科治療として食道切除術では、がんの部分を含む食道の一部を切除し、その後再建術を行います。鏡視下手術は、2cm以下の切開を数カ所作り、そこから器具を挿入して食道を切除する方法で、傷が小さく回復も早いとされています。手術の利点としては、病変を取り除くことで病気の詳細な評価と治療効果の判定が可能となります。しかし、手術にはリスクも伴い、「手術後の感染、縫合部の不全、肺炎、声のかすれや嚥下障害」などの合併症が考えられます。

 

食道がんの薬物療法(抗がん剤)には、ステージ2~3期で術前や術後に行う根治を目指した集学的治療として行われる薬物療法と、ステージ4期で進行・再発の食道がんに対して行われる薬物療法があります。これらの薬は全身に効果を発揮するため、画像検査で見つけることができないごく小さながんに対しても効果が期待できますが、吐き気、食欲不振、口内炎、髪の脱毛、白血球の減少などの副作用も伴うことがあります。

 

放射線治療は、高エネルギーのX線や放射線を使ってがん細胞を攻撃する方法で、体力が低下している方も治療が可能です。しかし、皮膚の赤みや乾燥、食道の炎症による痛みやつかえ感、嗄声(声のかすれ)といった副作用が考えられます。また、放射線治療単独で行うよりも、化学療法と同時に行う化学放射線療法のほうがより効果的といわれています。

 

最後に、薬物療法の一つである免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤を使用し、体の免疫機能を活性化させ、がん細胞を攻撃する治療法があります。

ひらがなの「がん」は悪性腫瘍全体を示し、漢字の「癌」は上皮細胞から発生する癌腫として使われることもありますが、特に区別しないこともあります。当ページでは、原則として、「癌」についてもひらがなの「がん」を使っています。

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